書籍紹介
目で見る最新歯科救急処置ガイド 第2版
−診療中の偶発症・医療事故への対処,歯科外来診療環境の整備−
著:
吉田和市(神奈川歯科大学生体管理医学講座教授)

A4判 カラー  並製本  カバー  120ページ
巻末付録:フローチャート6点
ISBN978-4-901894-66-1
定価8,400円(本体8,000円+税)
歯科外来診療環境体制づくりのための器具・器材と、最新のガイドラインに基づいた偶発症に対する処置・蘇生法の基本手技を、写真をふんだんに使って視覚的に解説!

第1版で好評をいただいたビジュアルな構成はそのままに、歯科外来診療環境体制加算に対応して最新情報、最新手技で大幅リニューアルしました!  また、巻末付録の救急処置フローチャートは長く使っていただけるように、丈夫なラミネート加工になっています。
救急処置フローチャート:全身的偶発症と救急処置/脳貧血の救急処置/過換気症候群の処置/高血圧症,心疾患,脳血管障害,糖尿病などの既往がある患者/診療中に異物を口腔内に落下させたときの除去法/AHAガイドライン2005による新しいBLSアルゴリズム
目 次
1章 バイタルサインの観察法
 1)バイタルサインとは
 2)脈拍のとりかた
    橈骨動脈での脈拍のとりかた/総頸動脈での脈拍 のとりかた
 3)呼吸の観察
    呼吸数および呼吸の性状の観察/呼吸音の観察/呼吸型の異常/気道閉塞,呼吸停止の診断/
    呼吸数と呼吸の深さの異常
 4)体温の測定
  (1)腋窩(えきか)検温法
  (2)口腔検温法
  (3)耳式体温計
  (4)体 温
  (5)発 熱
  (6)歯科治療に伴う発熱
 5)血圧の測定
  (1)測定に必要なもの
  (2)マンシェットの巻き方
  (3)触診法による血圧測定
    触診法の手順
  (4)聴診法による血圧測定
    聴診法の手順
  (5)自動血圧計による測定
  (6)血圧値の分類
  (7)血圧の変動
  (8)Rate Pressure Product(RPP)

2章 モニタリングのための測定機器
 1)モニターの例
 2)パルスオキシメーター
  (1)特 徴
  (2)正常値
  (3)センサー
  (4)測定原理
 3)モニターとしての心電図
  (1)心電図とは
  (2)測定法
  (3)装着部位と導出法
    電極の位置
  (4)モニター心電図の適応
  (5)モニター心電図から何がわかるか
  (6)頻度の高い不整脈
    正常心電図/心室性期外収縮/心房細動/房室ブロック/リエントリー不整脈 /虚血性心筋障害と心電図変化
  参考)静脈路の確保と静脈内注射実施の手順
    穿刺部位の選択 /どこの血管を選択するか/駆血帯の巻き方/穿刺のコツ/
    静脈内注射に必要なもの/静脈内注射の手順

3章 頻度の高い全身疾患と歯科治療時の注意
 1) 高血圧症
  (1)高齢者の血圧の目標
  (2)糖尿病を合併する高血圧
  (3)高血圧症と歯科治療の実際
  (4)歯科治療時の注意事項
  (5)歯科治療時の血圧上昇の要因
  (6)高血圧性緊急症
    診断基準/治療
 2)虚血性心疾患
  (1)狭心症
    歯科治療時の注意事項/歯科治療中に狭心発作が起こった場合/冠動脈の狭窄の処
  (2)心筋梗塞
    歯科治療時の注意事項
 3)糖尿病
  (1)糖尿病とは
  (2)糖尿病の治療
  (3)糖尿病の検査
  (4)歯科治療時の注意事項
 4)気管支喘息
  (1)病 態
  (2)所 見
  (3)歯科治療前の問診事項
  (4)歯科治療時の注意事項
  (5)歯科治療中の喘息発作時の対応
 5)脳卒中
  (1)脳卒中の種類
  (2)歯科治療時の注意事項
  (3)抗血小板療法や抗凝固療法を受けている場合
    日本で主に使用されている抗血小板薬/抗凝固薬(ワルファリン)

4章 局所麻酔時あるいは歯科治療時によく見られる全身的偶発症と救急処置
 1)局所麻酔時における全身的偶発症
 2)脳貧血 (神経性ショック,疼痛性ショック,心因性ショック)
  (1)症 状
  (2)救急処置
    手順/脈が50beat/min以下の状態が1分以上続く場合/収縮期血圧が70mmHg以下の場合/
    痙攣が持続する場合/呼吸抑制がある場合
 3)起立性低血圧(脳貧血)
 4)過換気症候群
  (1)特 徴
  (2)初期の症状
  (3)進行すると
  (4)処 置
 5)転換性障害(転換性ヒステリー)
  (1)特 徴
  (2)実際の症例
 6)アレルギー(アナフィラキシー)
  (1)アナフィラキシー反応
    症状/処置/薬剤によるアレルギーの治療
  (2)歯科用リドカインカートリッジによるアレルギーについて
  7)エピネフリンによる反応:エピネフリン過剰反応
  8)局所麻酔薬中毒

5章 歯科治療中の救急処置
 1)歯科治療中に意識障害が生じたら
 2)急変の発見
 3)意識があり,呼吸している場合
 4)意識がないとき
   A:気道確保(Airway)
 5)呼吸がないとき
   B:人工呼吸(Breathing)
 6)気道が確保できない場合
 7)頸動脈を触知し心停止が確認された場合
 8)口腔内に異物がある場合の除去法(異物による気道閉塞の処置)
  (1)指交差法
  (2)指拭法
    指拭法の手順
  (3)喉頭異物
  (4)気管・気管支異物
  (5)気道異物の症状
  (6)口腔内の異物を家庭用の電気掃除機を用いて除去する方法
  (7)ハイムリック法(Heimlich maneuver)−上腹部圧迫法:立位
  (8)上腹部圧迫法:座位
  (9)上腹部圧迫法:仰臥位
  (10)上腹部圧迫法:半座位
  (11)背部叩打法
 9)デンタルチェアの上における心肺蘇生法
    手順
 10)床の上における心肺蘇生法
    手順/口対口法,口対鼻法/バッグとマスク,あるいはポケットマスクを用いる方法 C:心マッサージ(Circulation)
  11)自動体外式除細動器(Automated External Defibrillator:AED)
      AEDの使用方法

6章 備えておく救急用品
 1)救急薬品
    酸素/輸液剤/注射用溶解剤/副交感神経遮断薬/昇圧薬/降圧薬/冠拡張薬/抗痙攣薬/鎮静薬/ステロイド剤  /気管拡張薬/エピネフリン/抗不整脈薬
 2)薬品以外の救急用品

巻末付録(フローチャート)
 ・全身的偶発症と救急処置
 ・脳貧血の救急処置
 ・過換気症候群の処置
 ・高血圧症,心疾患,脳血管障害,糖尿病などの既往がある患者
 ・診療中に異物を口腔内に落下させたときの除去法
 ・AHAガイドライン2005による新しいBLSアルゴリズム
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本文より

歯科治療中に意識障害が生じたら
 歯科治療中の意識障害には,不安緊張や疼痛が誘因となって生じる脳貧血,過換気症候群,転換性障害の他に,局所麻酔薬によるアレルギー反応・中毒,エピネフリン過剰反応があることはすでに述べた.さらに,歯科治療がストレッサーとなり,狭心症や心筋梗塞を代表とする虚血性心疾患の再発,高血圧脳症,脳梗塞など,すでに存在していた全身疾患が増悪して生じるものがある.
 いずれにせよ,何が生じているかを観察し,瞬時に適切な対処をすることが大切である.そのためには,初診時の問診が重要であることは言うまでもない.たとえば,インスリン治療中の糖尿病患者が食事をとらずに来院し昏睡に陥れば,低血糖性昏睡を容易に予測できるし,狭心症患者が胸痛を訴えれば,ニトログリセリンを投与すればよいことは容易に想像できる.しかし,これらの情報がないとなると,診断は容易ではない.
 救急処置を成功させるには,患者から情報を十分に聴取し,患者の全身状態を観察することが肝要である.  いきなりユニットを倒して口腔内を診ることは極力避けて,まずはあいさつ代わりに脈拍でもとりたいものである.それだけで,患者が緊張しているか,血圧が高いか,発熱しているか,汗ばんでいるか,不整脈があるかなどがわかる上に,信頼感も増す。

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