書籍紹介
歯科初診患者の医療面接プロダクト
−カルテの書き方
編著:藤澤盛一郎(明海大学歯学部病態診断治療学講座)
   山根 源之(東京歯科大学オーラルメディシン講座)
A4型 214ページ
ISBN4-901894-29-3
定価5,250円(本体5,000円+税)
本書の特色:
・主訴をもとに組み立てられている.
・主訴が患者の訴える表現で区分けされている.
・初診患者に通例見られる歯科診断が取り上げられている.
・症例に対する初期診断の対応を書き込める.
・各症例ごとに初期診断対応の模範例が示されている.
・初期診断・治療計画を立案する力を養うことができる.
・ワンポイントアドバイスとして,カルテ記載に関連する用語を解説.
・付録の「口腔・咽頭図」,「検査基準値メモ」がカルテ記載に役立つ.
 
       
目次

目 次
  
 ケース番号     主 訴            初期診断名    
A 痛い
    1      歯が痛い           歯髄炎の疑い    
    2      前歯が痛い          歯髄炎      
    3      下の奥歯が痛い        歯肉腫瘍      
    4      左下奥歯が咬むと痛い     含歯性嚢胞    
    5      左下の奥歯が痛い       慢性骨髄炎    
    6      右上の前歯が痛い       歯髄炎       
    7      左の奥歯が痛い        歯周炎      
    8      右上の奥歯が痛い       歯髄炎の疑い   
    9      左下の奥歯が痛い       歯髄炎      
   10      右の頬が痛い         歯槽膿瘍      
   11      左上奥歯が痛い        歯性上顎洞炎    
   12      両頬が痛い          顎関節症1型    
   13      歯茎が痛い          歯周炎       
   14      左下の奥歯が痛い       智歯周囲炎     
   15      下顎が腫れた         口腔底蜂窩織炎   
   16      歯茎が痛い          歯肉癌       
   17      歯茎から血が出る       骨髄性白血病
    
B 腫れた
   18      歯茎が腫れて痛い       歯周炎      
   19      歯茎から血が出る       歯周炎       
   20      前歯の歯茎が腫れた      根尖性歯周炎    
   21      右頬が腫れた         歯槽膿瘍      
   22      歯茎から膿が出る       歯周炎       
   23      歯茎が腫れた         歯周炎      
   24      左上奥の歯茎が腫れてきた   術後性上顎嚢胞   
   25      上顎が腫れた         鼻口蓋管嚢胞 
   
C 気になる
   26      歯の色が悪い         変色歯       
   27      咬み合わせが悪い       エナメル質形成不全 
   28      歯並びが悪い         先天性欠如歯    
   29      奥歯が変な感じがする     含歯性嚢胞     
   30      歯科用金属アレルギーの疑い  掌蹠膿胞症     

D 咬めない
   31      左下の奥歯が痛い       埋伏智歯      
   32      物が咬めない         歯周炎
       
E 変な感じ
   33      前歯がしみる         前頸部う蝕     
   34      左上奥歯がしみる       歯髄炎の疑い    
   35      つめ物が取れた        修復物脱離     
   36      左下の奥歯が変な感じがする  原始性嚢胞     
   37      左頬にしこりがある      類表皮嚢胞
     
F 歯が生えてこない
   38      上の前歯が生えてこない    埋伏歯       
   39      奥歯が生えてこない      埋伏歯
       
G 顎が痛い
   40      右顎が痛い          顎関節症2型    
   41      左顎に音がする        顎関節症3a型    
   42      左側の顎が痛い        顎関節症3b型    
   43      右顎が痛い          顎関節症4型 
   
H 心身症・神経症
   44      口が臭い           自臭症       
   45      味がわからない        味覚障害      
   46      口が渇く           口渇症       
   47      入れ歯を入れていられない   義歯異常感症    
   48      左上の前歯が痛い       ヒステリー性歯牙痛 
   49      口の中が痛い         ベーチェット病   
   50      舌が痛い           舌痛症       


カルテ記載のワンポイントアドバイス
  医療面接               
  診療録(カルテ)の構成        
  主訴                 
  現病歴                
  歯科特定疾患療養指導料を規定する疾患 
  既往歴                
  残髄炎                
  露髄                 
  急性歯槽骨炎の臨床経過        
  糖尿病                
  患者生活像             
  血中非蛋白性窒素化合物        
  血液検査指標             
  医療事故で証拠となるものは何か    
  問診票                
  家族歴                
  炎症マーカー             
  診療録の記載             
  問題リストの記載法とリストの変更   
  歯の変色               
  歯の形による診断           
  歯数による診断(歯数不足)     
  乳歯の晩期残存            
  歯科用金属アレルギー         
  象牙質知覚過敏症と根面う蝕      
  歯髄炎の疑い             
  原始性嚢胞(エナメル上皮腫)     
  類表皮嚢胞              
  歯数による診断(過剰)        
  顎関節症2型             
  顎関節症3a型             

はじめに

はじめに(抜粋)

 Patient-Oriented System(POS)とEvidence-Based Dentistry(EBD)を基盤とする医療システムが我が国にも定着しつつある。
 医療情報の流れは医師サイドのみならず、国民一般が共有するものとなった。問診に関する情報の流れも、従来の患者から医師への一方方向の流れ(情報収集)から、医師から患者への流れ(患者教育、治療への協力、動機づけ)、更に患者・医師間の対等のレベルでの情報のやりとりといったように、多岐にわたっている。問診が医療面接と呼称され、科学的に研究される時代が到来したのである。
 口腔診断学関連講座は歯科外来患者の初診あるいは予診業務に関与している。関連講座での歯科学生の臨床教育を行う際の重要な柱は、医療面接と医療評価ができるカルテ記載、あるいはその読み方の学習である。
 カルテ記載に関しては従来型のカルテと異なり、1964年にL , L ,Weedが提唱した問題志向型カルテシステム(POMR:Problem Oriented Medical Record)がある。このPOMRは医学教育において優れたシステムであることは広く知られているが、ある程度の訓練と時間がかかることなどで、我が国では広く普及していない。
 本小冊子は歯科外来新患患者の問診の取り方について、主訴を基にして書き上げたものである。したがって、精緻で厳密な理論構成の基にPOMRを問診の取り方に応用したわけではない。また、系統的に疾患分類し、整理記述したものでもなく、初診患者に通例多く見られるものを取り上げている。
 本書は以下の活用法を考慮したものである。即ち、 
 1.コミュニケーションプロダクトをカルテに記載する能力を養うこと
 2.プロダクトを基に初期診断・治療計画の立案ができること
である。したがって、症例への対応を自分で記入するように作られている。
                 
                                明海大学歯学部病態診断治療学講座
                                 口腔診断学分野教授 藤澤盛一郎

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