書籍紹介
クリアアライナーの理論と臨床応用
−ブラケットを使わない透明な次世代矯正装置−
著:金 泰元(ソウル市・金泰元矯正歯科)
訳:渡辺和也(東京都・渡辺矯正歯科)
  平岡 修(東京都・平岡矯正歯科)

A4変型判 カラー 上製本 256ページ
+CD-ROM:クリアアライナーの臨床例(全48症例)
ISBN4-901894-34-X
定価18,900円(本体18,000円+税)
目立たず審美的で取り外しのできる革命的矯正装置,クリアアライナーについて、本とCD-ROM合わせて1,400点の図版で詳説!
クリアアライナーは,透明ラミネートを用いた最新の可撤式矯正装置です.可撤式矯正装置には幾つかありますが,クリアアライナーは各段階ごとに模型を作製し、Aligner Aid Programというコンピュータソフト上で移動量・回転角度などを計測することによって、簡便かつ正確な歯の移動を可能にしました.  
クリアアライナーは1歯〜多数歯まで、さまざまな症例に幅広く適用できます.Aligner Aid Program
の使用ライセンスを日本で唯一取得した(株)ASOインターナショナル(TEL03-3547-0471)に作製を依頼すれば、手軽かつ安心です。
 
  
クリアアライナーはブラケットやワイヤーを使わない“見えない”矯正装置です。また、取り外し可能なので、食事も通常通り楽しめます。
 
       
目次

クリアアライナーの理論と臨床応用−ブラケットを使わない透明な次世代矯正装置− 目次

第1章 序 論

第2章 クリアアライナーの適用
 A.クリアアライナーの適用例
  1.矯正装置として
   (1)ローテーション・コントロール
   (2)拡大ならびに縮小
   (3)圧下ならびに挺出
   (4)空隙閉鎖
   (5)後戻り症例 27
  2.保定装置として
   (1)パッシブ・リテーナー
   (2)アクティブ・リテーナー
  3.その他の適用例
   (1)ブリーチング・トレー
   (2)その他の利用
 B.クリアアライナーでは改善が難しい例
  1.前歯部のアンギュレーション・コントロール
  2.緊密な咬合状態の確保(全体的な歯の挺出)
  3.抜歯症例 
 C.クリアアライナー作製に必要な材料・機材
  1.ラミネート
  2.吸引圧接器(Vacuum Former)
  3.レジンおよびワックス
  4.作業道具
  5.Aligner Aid Program
  6.その他

第3章 基本理論
 A.矯正力の発現
 B.段階的な歯の移動(Progressive Tooth Movement) 

第4章 クリアアライナーのメカニクス
  1.間欠的な矯正力 
  2.三次元的な矯正力 
  3.2種類の厚さのラミネート 
  4.段階的な歯の移動 
  5.隣接歯への少ない影響 
  6.変 形 
  7.患者の協力度への依存

第5章 クリアアライナーの作製ならびに使用法
 A.ローテーション・コントロール (1歯) 
  1.印象採得と模型調整 
  2.気泡の除去 
  3.基準線を描く 
  4.糸鋸にて分割 
  5.配列と固定 
  6.ブロックアウト 
  7.圧接成型〈厚さ 0.020inch(0.5mm)と 0.030inch(0.75mm)〉 
  8.クリアアライナーのトリミング 
 B.複数歯の配列 (多数歯にわたる叢生) 
  1. 印象採得と模型調整 
  2.気泡の除去 
  3.基準線を描く 
  4.デジタル写真 
  5.複数歯の配列と固定 
  6. 圧接成型 
  7. クリアアライナーのトリミング 
  8. 装 着 
 C.圧 下 
  1.圧下のメカニクス 
  2. 1歯の圧下 
  3.多数歯の圧下 
  4.装 着 
 D.挺 出 
 E.ティッピング・コントロールとアップライト 
  1.外見上の圧下や挺出を伴う傾斜移動 
  2.外見上の圧下や挺出を伴わない傾斜移動 
  3.歯体移動 
  4.臼歯部のアップライト 
  5.少数歯の傾斜移動 
 F.空隙閉鎖 
   空隙閉鎖のメカニクス 
 G.歯列の拡大 
  1.両側性の側方拡大 
   2.斜め前方への拡大 
  3.近遠心的な拡大 
 H.歯列の縮小 
 I.複製したクリアアライナーの適用 
 J.保定装置 
  1.クリアアライナー保定装置の利点 
  2.クリアアライナー保定装置の作製および装着 
 K.クリアアライナーの多様な使用法 
  1.一般的な矯正装置との併用(混合治療) 
   (1)ブラケット装着前
   (2)ブラケット装着中(対合歯列に適用) 
   (3)ブラケット除去後 
  2.舌側からの矯正装置との併用 
  3.ブリーチング・トレーとしての使用 
  4.矯正用ミニインプラントとの併用 
  5.アクティブ・リテーナー 
  6.スプリント 
 L.クリアアライナーの使用方法 
  1.クリアアライナーの装着 
  2.クリアアライナーの取り外し 
  3.使用時間ならびに交換時期 
  4.洗浄方法 

第6章  患者管理
  1.治療前の患者への説明 
  2.治療中における観察 
   (1)装置装着による痛みはないか?
   (2)装置を着脱する際にきつ過ぎないか? 
   (3)審美的な不満はないか? 
   (4)仕事に支障はないか? 
   (5)患者の治療に対する要求がクリアアライナーによって満たされているか? 
   (6)患者がクリアアライナーによる矯正治療に確信を持っているか? 
  3.クリアアライナーの調整 
   (1)クリアアライナーのトリミング 
   (2)セットアップ模型のブロックアウト 
   (3)セットアップ模型上での歯の移動量に起因する痛みの解決 
   (4)はさみの提供 
  4.患者の協力度と治療結果の評価 
   (1)経過写真 
   (2)Aligner Aid Programの活用 
   (3)クリアアライナー作製に対する理解 
  5.患者とのコミュニケーション 
  6.治療後の管理

第7章  治療計画の立案
  1.レントゲン写真分析
   (1)セファログラム
   (2)パノラマX線写真
  2.模型分析
  3.セットアップ模型の作製
  4.歯の移動順序
  5.Aligner Aid Programの活用


CD-ROM:クリアアライナーの臨床例
  1.叢生改善と空隙閉鎖(Crowding correction and Space closure)
     症例1-01〜1-22 
  2.混合治療(Combined Treatment)
      症例2-01〜2-15
  3.後戻りの治療(Relapse)
     症例3-01〜3-06
  4.その他の適用例(Miscellaneous)
     症例4-01〜4-05

はじめに

日本語版によせて

 矯正歯科学は時に大変難しい学問の一つではないかと時々思う.
 矯正歯科治療を,人々が持つ美的追求心,そして機能的側面から歯による咀嚼能率の向上に寄与するものだと考えると,矯正歯科医は少なからず心理的負担を持つべきかもしれない.現在,国内外の一般的な矯正歯科治療にかかる費用は,決して安価なものではないのが事実である.そこで経済的負担を軽減し,より多くの人々に提供できる矯正歯科治療の開発が必要ではないかと考えるようになった.クリアアライナーは,比較的手頃な治療費で治療目標に最大限近づけることが出来るひとつの選択肢として誕生した.クリアアライナーは著者の独創的な発明品というわけではない.1970年代以降,まだ多くはないものの先駆者たちの論文がその発端となり,インビザラインの登場によってクリアアライナーはさらに大きく進歩することができた.現在のデジタル・テクノロジーは毎日のように急成長を遂げてはいるが,実用的に十分満足できるレベルに至るにはまだ長い時間を要するように感じる.そのような視点から,アナログ型のクリアアライナーは,正確性および歯の移動の多様性に関連して現在ではより実用的レベルにあると確信している.
 本書は,クリアアライナーの基本原理をはじめ,その作製法と多くの臨床例を載せている.また一般歯科医から矯正専門医に至るまで,その用途に応じて幅広く利用できるよう作製過程を詳細に載せた.
 本書がやや愚書であっても,読者には寛大さをもって接していただき,将来的により進歩したものへと繋がることを期待していただければ幸いである.
 
                                             著 者


訳者序

 本書は,矯正歯科学の臨床において先駆的な視点を提供している Kim Tae-Weon氏による著書 “Principle and Clinical Application of Clear Aligner”と“Clinical Cases of Clear Aligner”という2冊のハードカバーの日本語訳です.オリジナルの1冊目は「理論と臨床応用」,2冊目は「症例報告」という内容を,日本語版では1冊の本と1枚のCDにまとめました.
 著者は現在,ソウルにある自らの診療室で矯正歯科臨床に携わりながら,アジアやヨーロッパなど各地を回りクリアアライナーについての講演を行っています.私たちが彼の診療室ではじめてクリアアライナーを紹介されたときは,その簡便さにまず驚きました.そしてクリアアライナーが作られる過程の理論背景が見事だったため,矯正歯科治療を行う上で素晴らしいアイテムになりうることを瞬間的に確信しました.似たような装置がすでに存在することは承知していましたし,実際に米国の学会などでは治療例の発表なども目にしていたため,彼のクリアアライナーについて当初はあまり気に留めていませんでした.ところが既存の装置にはない手軽さと安心感がクリアアライナーには備わっていたのです.
 矯正歯科治療に関する理論を大雑把に理解したとしても,それだけで理想的な治療がなされるとは思えません.本書の目的や内容に関する著者の考え方は序論で述べられている通りです.本文中には大変多くの症例写真が例示してあり,実際の使用に当たって大切と思われる部分は何度も繰り返し説明がなされています.クリアアライナーをひとつのアイテムとして,矯正歯科医が自ら持つ「治療の引き出し」をひとつ増やすことに繋がることは間違いないと思います.そのような観点から,本書は理想的な入門書であるとともに,貴重な症例集でもあります.

                                             訳 者

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