書籍紹介
基本から学ぶインプラントの画像診断
編著:
金田   隆(日本大学松戸歯学部放射線学教授)
著:
森進太郎(日本大学松戸歯学部放射線学講師)
井出吉信(東京歯科大学解剖学教授)
阿部伸一(東京歯科大学解剖学准教授)
佐野   司(東京歯科大学歯科放射線学教授)
和光   衛(東京歯科大学歯科放射線学准教授)
西川慶一(東京歯科大学歯科放射線学助教)
田中譲治(田中歯科医院院長)
浅賀   寛(医療法人寛友会浅賀歯科医院理事長)
浅賀知記(医療法人寛友会浅賀歯科医院院長)
菅井敏郎(東京医科歯科大学歯学部臨床教授)

A4判 カラー  並製本  カバー  248ページ
ISBN978-4-901894-65-4
定価8,925円(本体8,500円+税)
インプラントに必要な解剖、CT読影、コーンビームCT、シミュレーションのすべて!

安全で確実なインプラント治療にはCTによる画像検査が必須です。『基本から学ぶインプラントの画像診断』は、インプラント治療のための解剖学から、CTの読影、コーンビームCTの特徴とインプラント応用、CT画像によるシミュレーションまでを1冊にまとめた初めての本です。写真・図版を大きくビジュアルでわかりやすくしました。最新のCT画像を応用したシミュレーションについても、サージカルテンプレートやモーションキャプチャーの臨床応用、フラップレスやサイナスリフトなどへの臨床応用について症例を供覧して解説しています。インプラントがユ床に広く取り入れらている現在、本書を全ての臨床医の先生方におすすめします!
 
       
目次

目次

第1章 インプラント治療におけるCT検査の重要性
 1.インプラント治療の進歩とCTの応用
 2.CT検査は本当に必要か? 口内法やパノラマエックス線検査だけではだめなのか?
   症例1:上顎臼歯の骨幅がない症例
   症例2:下顎骨の舌側形態が凹状の症例
   症例3:骨粗鬆症の症例
   症例4:軟組織の脂肪腫の症例

第2章 インプラントの画像診断のための解剖学
 1.顎骨の特徴
 2.下顎骨の基本構造
 3.無歯顎における下顎骨の構造変化
  1)外部形態の変化
  2)内部構造の変化
 4.上顎骨の外部形態と無歯顎における変化
 5.上顎骨の内部構造  
 6.上顎洞の解剖
  1)上顎大臼歯の根端と上顎洞底の位置関係
  2)上顎洞内部の構造物
 7.無歯顎における上顎洞の形態変化
  1)洞底の位置の変化
  2)上顎洞の骨壁の厚さの変化
  3)上顎洞の大きさの変化
 8.下顎骨周囲を走行する神経,脈管
  1)下顎神経
  2)舌動脈
  3)下歯槽動脈
 9.上顎骨周囲を走行する神経,脈管
  1)上顎結節部
  2)上顎前歯部
 10.おわりに 

第3章 インプラントの画像診断に用いる各エックス線検査法の正常解剖 
 1.口内法エックス線検査の正常解剖
 2.パノラマエックス線検査の正常解剖
 3.エックス線CT検査の正常解剖
 4.エックス線CTで観察される正常像のバリエーション
 5.エックス線画像で観察される歯牙喪失後の歯槽骨の変化

第4章 インプラント治療における口内法およびパノラマエックス線検査のポイント
 1.インプラント画像診断の目的と読影ポイント
 2.推奨される撮影方法
 3.口内法エックス線検査
 4.パノラマエックス線検査
  1)断層方式パノラマエックス線撮影の頭部の位置付け
  2)パノラマエックス線写真の読影時の注意事項
  3)疾患のスクリーニング検査

第5章 インプラント治療におけるCT検査のポイント
 1.エックス線CTとは
  1)CTの歴史
  2)CTの原理
  3)マルチスライスCT(Multidetector-row CT;MDCT)
  4)CT撮影上の注意―いかに金属アーチファクトを避けるか?
  5)CT画像の読影にあたって知っておくべきポイント
 2.インプラント治療におけるCT検査の利点,欠点
 3.インプラント治療に必要なエックス線検査項目
 4.インプラント治療のためのCTによる顎骨形態の評価
  ■下顎骨の骨形態の評価
  1)顎下腺窩および舌下腺窩
  2)下顎管と類似した骨髄腔
  3)抜歯窩の残存
  4)歯槽頂部の骨欠損
  5)骨高径の不足
  6)骨幅径の不足
  ■上顎骨の骨形態の評価 
  1)骨高径,骨幅径ともに十分
  2)歯槽頂部の骨欠損
  3)骨高径の不足 
  4)骨幅径の不足
  5)上顎洞底部の隔壁構造
 5.インプラント治療のためのCTによる骨質の評価
  1)骨密度の低い骨
  2)骨密度の高い骨
 6.症例
   症例1:下顎右側大臼歯部にインプラント2本埋入(骨高径,骨幅径ともに十分) 
   症例2:上顎前歯部にインプラント3本埋入(唇側に骨欠損) 
   症例3:下顎左側大臼歯部にインプラント1本埋入(頬側歯槽頂部に骨欠損) 
   症例4:上顎前歯部にインプラント3本埋入(抜歯窩の残存) 

第6章 鑑別が必要な疾患について
 1.インプラント治療においてリスクファクターとなる疾患のスクリーニング 
  1)放射線治療後の顎骨
  2)骨粗鬆症 
  3)炎症性疾患 
  4)感染症 
 2.鑑別が必要な症例 
   症例1:放射線性骨髄炎
   症例2:鼻口蓋管嚢胞 
   症例3:線維性異形成症
   症例4:エナメル上皮腫 
   症例5:滑膜性軟骨腫症 
   症例6:インプラント周囲炎および上顎洞炎−1 
   症例7:インプラント周囲炎および上顎洞炎−2 

第7章 インプラントの画像診断におけるデジタル口内法エックス線撮影の応用
 1.デジタル口内法エックス線画像診断システム 
  1)デジタル画像とは 
  2)画像形成過程 
   3)インプラント画像検査に対するシチュエーション 
 2.骨質(骨塩量)評価のトライアル 
  1)ステップウエッジを用いた評価法 
  2)差分処理ソフトウエアを用いた評価法 

第8章 インプラントの画像診断とエックス線被曝
1.放射線防護の基本理念とインプラントの画像検査 
  1)行為の正当化(Justification) 
  2)防護の最適化(Optimization) 
  3)個人の線量制限(Limitation) 
2.最近の被曝情報 
3.インプラント治療における安全なエックス線検査を目指して
   ―「口内法やパノラマエックス線検査と併用した適正回数のCT利用」の提言― 

第9章 歯科用コーンビームCTの原理とインプラント応用
 1.国内における歯科用コーンビームCTの開発の歴史
 2.歯科用コーンビームCTの特徴
  1)「歯科用コーンビームCTは医科用CTに比べて撮影時間が短い」か?
  2)「歯科用コーンビームCTは軟組織の描出能が低い」か?
  3)「歯科用コーンビームCTのCT値は医科用CTのような(準)定量性がない」か?
  4)「歯科用コーンビームCTは医科用CTに比べて解像度(空間分解能)が高い」か?
  5)「歯科用コーンビームCTは医科用CTに比べて被曝線量が少ない」か?
  6)「歯科用コーンビームCTは医科用CTに比べて金属によるアーチファクトが少ない」か?
 3.最新の歯科用コーンビームCT装置
  1) 新型二次元エックス線検出器の採用
  2) 装置の小型化
 4.歯科用コーンビームCTの有効利用法
  1)できるだけ小さな照射野で撮影(照射野の小さな装置を使用)する
  2)精査目的で利用する
  3)測定は幾何学的なパラメータについてのみおこなう
  4) 三次元画像情報による診断法を身に付ける
 5.インプラント治療と歯科用コーンビームCT
   症例1:上顎臼歯部欠損−1(上顎洞炎の症例)
   症例2:上顎臼歯部欠損−2(上顎洞底部の骨が菲薄な症例)
   症例3:下顎臼歯部欠損症例−1(オトガイ孔の位置が遠心に存在する症例)
   症例4:下顎臼歯部欠損症例−2(抜歯窩を認める症例)
   参 考:インプラント埋入後の評価例
  コラム:CTのハローアーチファクトについて
  現在国内で購入可能な歯科用コーンビームCT装置の主な仕様

第10章 CT画像のインプラント応用
 1.CTを用いたシミュレーションソフトの有用性
  1)インプラント診断におけるCTの重要性
  2)CT画像を応用したシミュレーションソフトの有用性
 2.コンピュータガイディングシステム
  1)コンピュータガイディングシステムとは
  2)サージカルテンプレートの臨床応用
  3)モーションキャプチャーの臨床応用
  4)これからの展望
 3.フラップレス手術への臨床応用
   症例1:上顎多数歯欠損へのフラップレス・即時荷重症例
   症例2:下顎無歯顎へのフラップレス・即時荷重症例
 4.骨造成手術への臨床応用
  1)はじめに
  2)サイナスリフトへの応用 
  3)ベニアグラフトへの応用 
  4)自家骨採取への応用 
  5)おわりに   
  コラム:インプラントCT検査を外部施設に依頼する時のポイント

はじめに

はじめに


 近年,コンピュータや医療機器の進歩にともない,顎口腔領域の画像診断においては,エックス線CTや磁気共鳴画像(Magnetic resonance imaging;MRI)検査が広く普及してきました.これら画像検査を大学病院や一般病院に依頼し,インプラントや顎関節疾患の治療に利用する一般開業医の先生方が非常に増えてきました.私の大学の放射線科には年間1,000件を超える歯科開業医の先生からのインプラントのCT検査の御依頼があります.日々,それらの検査を通じて,臨床現場で治療に携わる一般開業医の先生方の求める所見は何かを,いつも考えながら医局員と共に画像および画像所見を作成してきました.
 私が大学を卒業した1980年代の頃,インプラント治療は画像診断を口内法およびパノラマエックス線検査にておこない,インプラントを埋入していました.またインプラント治療をおこなう先生も非常に限られており,その予後や安全性も今ほど確立されていませんでした.1980年代後半よりエックス線CT検査がインプラント治療へ応用され,コンピュータの発展にともないエックス線CTの画像は画質も精度も日進月歩で発展しました.そして現在では,エックス線CTの情報なしにインプラント治療をおこなう先生が非常に少数になるほど普及してきています.
 その一方で,エックス線CT検査の普及にともない,検査費用やエックス線被曝の問題を考慮したエックス線検査の適正利用の必要性が出てきました.本書の被曝の章を参照して頂きたいのですが,2004年の Lancet誌上で日本のエックス線CTの医療被曝による発ガンが3%以上という報告がなされ,一部新聞にても話題に上がるなど,現在ほど医療関係者の適正なエックス線利用が国民に求められているときはありません.インプラントのCT検査の普及には,適正利用と被曝という別の問題が出てきたわけです.
 これらを踏まえ,本書ではインプラントの画像診断にフォーカスを絞り,インプラント治療をおこなう上で知っておくべき解剖,画像解剖,CTの原理,また必要な鑑別診断および被曝や治療の実際まで,各エキスパートの先生方に御執筆を頂きました.
 本書によって,研修医やこれからインプラント治療を始めようとされている先生はもちろん,すでに専門医としてインプラント治療をされている先生も,なんらかの新知見を得て頂けるのではないかと考えております.
 本書を読まれた先生方が,エックス線検査を適正に使い,患者さんのQOLを保ち,より安全に国民の健康に貢献するインプラント治療をおこなうことに少しでも役に立てば幸いです.

 平成20年7月
                       日本大学松戸歯学部放射線学講座教授  金田 隆

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