書籍紹介
臨床医のためのインプラント矯正入門
−ブラケットなしでMTMがここまで可能に−
著:林 治幸(横浜市・林歯科医院)
 
A4変型判 カラー 80ページ
ISBN4-901894-41-2
定価6,300円(本体6,000円+税)
1本のマイクロインプラントで、MTMがこんなに簡単に!
マイクロインプラントを応用すれば動かしたい歯の動きだけ考えればよいので、実に簡単なMTMになります。ブラケットも大幅に省略でき、アンカレッジロスなどのトラブルも起きません。本書ではインプラント矯正入門として、全てブラケットを使わない症例を紹介しています。インプラント矯正は矯正専門医用のテクニックではありません。一般臨床医にこそメリットのあるテクニックなのです。臨床医だから始めたい、マイクロインプラントを用いたMTM!
 
 

従来の矯正方法によるアップライトは、装置が複雑でブラケットも必要、アンカレッジにしている歯も動いてしまいます。一方、マイクロインプラントを使えば、簡単な装置でブラケットも必要なく、動かしたい歯以外の歯は動かさずにすみます。

       
目次

臨床医のためのインプラント矯正入門 目次



はじめに


第1章 こんなに簡単,マイクロインプラントを用いたMTM 
 臨床医だから始めたい,マイクロインプラントを用いたMTM 
  1)一般臨床医がおこなう矯正治療の特徴 
  2)ブラケットを使わないMTMだから,患者に受け入れてもらいやすい 
  3)装置やメカニズムが簡単 
 1.こんなに簡単,マイクロインプラントによるアップライト 
  症例1-1 近心傾斜した7のアップライト−遠心にマイクロインプラントを植立 
   7のアップライトの方法 
   インプラント矯正は患者にも術者にもメリットが大きい 
   下顎臼歯部へのマイクロインプラント植立時の注意点 
  症例1-1の問題点 
  症例1-2 アップライト時の歯の挺出を防ぐ−パワーチェーンを咬合面を通してかける 
  症例1-3 テンポラリーを利用する−テンポラリーにグルーブをつける 
  症例1-4 クラウンを利用する−クラウンにグルーブをつける 
 2.7の舌側傾斜を治す−マイクロインプラントを頬側に2本植立 
  症例1-1と症例2のアップライト方法の違い 
 3.マイクロインプラントをエクストルージョンに応用 
  症例3-1 7縁下カリエスを治す 
   マイクロインプラントの応用で失われた歯槽骨,歯肉を再生 
   一般のインプラントを利用した症例−昔は大変だった 
   エクストルージョンの方法 
  症例3-2 7縁下カリエスを治す 
  症例3-3 7縁下カリエスと歯周ポケットを同時に改善 
   上顎洞付近へのマイクロインプラント植立時の注意点 
   新付着を得る方法との違い 
 4.分岐部病変,骨縁下ポケットの改善−マイクロインプラントによるエクストルージョンとアップライトを利用  
 5.簡単な応用例1−マイクロインプラントによる矯正治療で義歯から解放 
   治療手順 
   最終補綴合着   
 6.簡単な応用例2−一見難しそうなペリオ,簡単な矯正治療を応用すれば 
   治療計画 
   治療手順 
   まとめ 
   残された課題 

第2章 マイクロインプラント植立の実際 
 a.準備するもの 
 b.植立の実際 
  1)ほとんどがセルフドリリングによる方法 
  2)皮質骨か硬い時−パイロットドリルで皮質骨を穿孔する方法 
    ドリルが滑る 
  3)骨の形態がわからないとき−最終手段,フラップを開く方法 
  4)植立後の投薬 
  5)植立後のケア 
  6)マイクロインプラントの除去 
 c.植立時のトラブル 
  1)歯根にマイクロインプラントが当たってしまった 
  2)上顎洞を貫通してしまった 
  3)マイクロインプラントが曲がってしまった 
 d.植立後のトラブル 
  1)マイクロインプラントのヘッドが当たる 
  2)曲がる,折れる 
  3)歯肉・粘膜に潜ってしまう 
  4)脱落する 
 e.脱落を防ぐために−インプラントは皮質骨で維持される 
  1)マイクロインプラントの選択 
  2)ドライバーのがたつき 
  3)いつから負荷をかけてよいのか 
  4)早期負荷は可能か 

 おわりに−インプラント矯正の可能性 

まえがき

臨床医だから始めたい,マイクロインプラントを用いたMTM


1)一般臨床医がおこなう矯正治療の特徴
 一般臨床医が自分自身でおこなった方がよいと思う矯正治療とはどのようなものであろうか.歯列全体が不正咬合ならば矯正専門医に任せるであろうから,実際には専門医に任せるほどではないが,少しだけでよいから移動できれば治療がうまくいくのに……といったMTMの症例がほとんどであろう.
 また,矯正専門医が矯正治療のために歯を削ることはほとんどないのに比べ,一般臨床医がおこなう矯正治療は補綴治療の前処置だったりするため,歯の削合を前提とする場合が多い.このことは歯を移動させる際に大きなメリットとなる.なぜならば,移動させたい歯を移動中に対合歯と咬合させないように前もって削っておけば,早期接触や咬合痛を起こさずに移動ができるからである.「歯を削らない移動」と「歯を削ることを前提とした移動」では,対応がおのずと違うのである.

2)ブラケットを使わないMTMだから,患者に受け入れてもらいやすい
 一般臨床医のもとに来院される患者が,最初から矯正治療を望んで来られることはほとんどない.臨床医の治療の都合で矯正治療が必要となる場合がほとんどである.矯正治療の必要性を患者に説明し同意を得たとしても,歯を移動させることで起こる不快な状態を受け入れてもらわなければならない.移動時の咬合痛(移動させたい歯ばかりではなく,アンカレッジとなっている歯でも起こる)矯正装置の異物感(当たる,痛い,物が詰まる,etc.)は,患者にとって苦痛である.ことに大掛かりな装置は受け入れてもらえないこともある.可能な限り小さく,異物感がなく,痛みがない,そんな装置が最適なのである.それを可能にするのがマイクロインプラントを用いたMTMなのである.
 矯正治療というとすぐにブラケットを思い起こすかもしれないが,マイクロインプラントを使ったMTMではブラケットを大幅に省略できる.なぜならば,アンカレッジに歯を用いる必要がないからである.患者に不評なブラケットが省略できることは異物感を軽減できるので,患者にすんなり受け入れてもらえるのである.

3)装置やメカニズムが簡単
 もうひとつのメリットは,装置が簡単になりメカニズムがシンプルになることである.MTMにありがちなアンカレッジロスなどのトラブルがなく,動かしたい歯の動きだけ考えればよいので,実に簡単なMTMになる.これは一般臨床医にとって朗報である.ことに初めて臨床にMTMにを取り入れる臨床家には,うってつけな歯の移動方法なのである.

4)治療期間の短縮
 歯にアンカレッジを求めた場合は絶えずアンカレッジロスへの注意が必要で,場合によっては矯正力も制限されることがあった.それに比べ,マイクロインプラントを使うとアンカレッジロスの心配がないので,動かしたい歯に加わる矯正力だけに注意すればよいことになる.結果として最適な矯正力を加えやすくなり,移動期間が短縮できる.

5)マイクロインプラントの植立が簡単
 以前おこなっていたインプラント矯正では補綴用のインプラントを使っていたので,植立が大変だった.マイクロインプラントの植立は,ほとんどがフラップレス,セルフドリリングでおこなえるようになり大いに簡素化され,植立可能な部位も格段と広範囲になった.

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