書籍紹介
最新歯科 救急救命処置 ビジュアルガイド
著:吉田和市(神奈川歯科大学生体管理医学講座教授)
A4判 カラー 並製本 カバー 132ページ
巻末付録:8点
ISBN978-4-901894-92-0
定価8,400円(本体8,000円+税)
最新のガイドラインに基づいた偶発症に対する救急救命処置の手順を、写真をふんだんに使って視覚的に解説!
1〜3章は、バイタルサインの見方、モニターの使い方、全身管理の方法、急変を起こさないための歯科治療時の注意事項などについて、4〜6章は、急変が起きたときの対処方法を写真・フローチャートをふんだんに使って手順がわかるように解説しました。
AHAのBLSガイドラインや高血圧症、糖尿病などの診断基準は、最新のものに準拠、AED、パルスオキシメーターなどのモニター、薬剤についても最新情報で解説しています。
切り取って使える巻末付録の救急処置フローチャートは、長く使っていただけるように、丈夫なラミネート加工になっています。全身的偶発症と救急処置/脳貧血の救急処置/過換気症候群の処置/高血圧症,心疾患,脳血管障害,糖尿病などの既往がある患者/診療中に異物を口腔内に落下させたときの除去法/AHAガイドライン2010による新しいBLSアルゴリズム/救急薬品と使用方法/全身管理記録表、の8点。
目次
目次
1.バイタルサインの観察法
01 バイタルサインとは
02 脈拍のとりかた
●橈骨動脈での脈拍のとりかた
●総頸動脈での脈拍のとりかた
03 呼吸の観察
●呼吸数および呼吸の性状の観察
●呼吸音の観察
●呼吸型の異常
●気道閉塞,呼吸停止の診断
●呼吸数と呼吸の深さの異常
04 体温の測定
1)腋窩(えきか)検温法
2)口腔検温法
3)耳式体温計
4)体 温
5)発 熱
6)歯科治療に伴う発熱
05 血圧の測定
1)測定に必要なもの
2)マンシェットの巻き方
3)触診法による血圧測定
●触診法の手順
4)聴診法による血圧測定
●聴診法の手順
5)自動血圧計による測定
6)高血圧の基準
7)血圧の変動
8)Rate Pressure Product(RPP)
2.モニタリングのための測定機器
01モニターの例(心拍数,呼吸数,血圧,動脈血酸素飽和度,心電図の測定)
02パルスオキシメーター (pulse oximeter)
1)特 徴
2)正常値
3)センサー
4)測定原理
03モニターとしての心電図
1)心電図とは
2)測定法
3)装着部位と導出法
●電極の位置
4)モニター心電図の適応
5)モニター心電図から何がわかるか
6)不整脈の種類
●正常心電図
●期外収縮
●心房細動
●房室ブロック
●リエントリー不整脈
●虚血性心筋障害と心電図変化
3.頻度の高い全身疾患と歯科治療時の注意
01高血圧症
1)高齢者の血圧の目標
2)高血圧症と局所麻酔時の実際
3)歯科治療時の注意事項
4)歯科治療時の血圧上昇の要因
5)高血圧性緊急症
●診断基準
●治 療
■高血圧症,心疾患,脳血管障害,糖尿病などの既往がある患者
02冠動脈疾患
1)狭心症
●歯科治療時の注意事項
●歯科治療中に狭心発作が起こった場合
●冠動脈の狭窄の処置
2)心筋梗塞
■胸痛発作の症状があり,意識がある場合の救急処置
■虚血性胸痛後,意識がない場合の救急処置
3)心室細動が起きたときの処置-自動体外式除細動器(AED)
03糖尿病
1)新しい糖尿病の診断基準(日本糖尿病学会)
2)歯科治療時の注意事項
04気管支喘息
1)病 態
2)所 見
3)歯科治療前の問診事項
4)歯科治療時の注意事項
5)歯科治療中の喘息発作時の対応
05脳血管障害
1)脳卒中
2)脳血管障害が発症した場合
■脳卒中の救急処置
3)歯科治療時の注意事項
4)抗血小板療法や抗凝固療法を受けている場合
5)主な抗血小板薬
6)主な抗凝固薬
06妊婦および授乳期の女性への薬剤投与と歯科治療時の注意点
1)解熱・鎮痛・消炎薬
2)抗菌薬
3)授乳期の薬剤投与の注意事項
4)歯科治療時の注意事項
4.局所麻酔時あるいは歯科治療時によく見られる全身的偶発症と救急処置
■全身的偶発症と救急処置
01全身疾患をもつ患者の歯科用局所麻酔薬投与時の注意点
1)全身疾患をもつ患者の血圧目標値
2)高血圧症患者の局所麻酔薬投与時の実際
3)血圧に基づいた脳心血管リスク
4)心疾患に関する分類とエピネフリンの安全投与量
5)エピネフリンの禁忌
02局所麻酔時における全身的偶発症
03脳貧血 (神経性ショック,疼痛性ショック,心因性ショック)
1)症 状
2)救急処置
●手 順
●脈が50beat/min以下の状態が1分以上続く場合
●収縮期血圧が70mmHg以下の場合
●痙攣が持続する場合
●呼吸抑制がある場合
04起立性低血圧(脳貧血)
05過換気症候群
1)特 徴
2)初期の症状
3)進行すると
4)処 置
■過換気症候群の処置
06転換性障害(転換性ヒステリー)
1)特 徴
2)実際の症例
07アレルギー(アナフィラキシー)
1)アナフィラキシー反応
●症 状
●処 置
●薬剤によるアレルギーの治療
2)リドカインによるアレルギーについて
08エピネフリンによる反応:エピネフリン過剰反応
09局所麻酔薬中毒
5.歯科治療中の救急処置
01歯科治療中に意識障害が生じたら
02急変の発見
03意識があり,呼吸している場合
04意識がないとき
A:気道確保(Airway)
05呼吸がないとき
B:人工呼吸(Breathing)
06気道が確保できない場合
07頸動脈を触知し心停止が確認された場合
08口腔内に異物がある場合の除去法(異物による気道閉塞の処置)
1)指交差法
2)指拭法
●指拭法の手順
3)喉頭異物
4)気管・気管支異物
5)気道異物の症状
6)口腔内の異物を家庭用の電気掃除機を用いて除去する方法
7)ハイムリック法(Heimlich maneuver)-上腹部圧迫法:立位
8)上腹部圧迫法:座位
9)上腹部圧迫法:仰臥位
10)上腹部圧迫法:半座位
11)背部叩打法
09デンタルチェアの上における心肺蘇生法
●手 順
10床の上における心肺蘇生法
●手 順
C:心マッサージ(Chest Compressions)
11自動体外式除細動器(Automated External Defibrillator:AED)
●AEDの使用方法
■AHAガイドライン2010による新しいBLSアルゴリズム
4.備えておく救急用品
01救急薬品
●酸 素
●輸液剤
●注射用溶解剤
●副交感神経遮断薬
●昇圧薬
●降圧薬
●冠拡張薬
●抗痙攣薬
●鎮静薬
●ステロイド剤
●気管拡張薬
●エピネフリン
●抗不整脈薬
(参考)静脈路の確保と静脈内注射実施の手順
●穿刺部位の選択
●どこの血管を選択するか
●駆血帯の巻き方
●穿刺のコツ
●静脈内注射に必要なもの
●静脈内注射の手順
●静脈路確保をしないで薬剤を投与する場合
02薬品以外の救急用品
巻末付録(フローチャート)
■全身的偶発症と救急処置
■脳貧血の救急処置
■過換気症候群の処置
■高血圧症,心疾患,脳血管障害,糖尿病などの既往がある患者
■診療中に異物を口腔内に落下させたときの除去法
■AHAガイドライン2010による新しいBLSアルゴリズム
■救急薬品と使用方法
■全身管理記録表
まえがき
序 文
日本では既に高齢化率が23%を超えて今や超高齢社会に突入している.2015年には25%を超え,4人に1人が高齢者になると推定されている.中でも75歳から84歳までの後期高齢者,85歳以上の超高齢者の割合が増加し,今後も後期高齢者以上の世代が急増することが見込まれている.歯科臨床においても様々な基礎疾患をもつ高齢患者や要介護高齢者患者が急増している.そのような環境においては歯科医師も全身管理ならびに救急救命処置が必要不可欠となっており,さらに最近ではインプラント手術を希望する患者の増加に伴い,埋入外科手術時の全身管理の機会も多くなっている.
近年,大学では歯学生や歯科臨床研修医のカリキュラムにも全身管理学や生体管理学が導入され,全身管理,救急処置への関心が高まっているのは喜ばしいことである.また,全身疾患を有する患者や要介護高齢者の在宅歯科治療など,従来は一般開業歯科医師の診療対象になかった分野にまで社会的要請が高まっている現在,歯科治療をいかに安全に遂行するか,いわゆる"リスクマネージメント"が重要となっている.
幸いにも,最近では歯科医院においても生体管理モニターを導入したり,救急処置あるいは救急蘇生法の講習会を定期的におこない,歯科治療中の偶発症や全身疾患の増悪に備えておられる先生方が確実に増加している.歯科医院における救急処置,全身管理の指南書として2003年に『目で見る最新歯科救急処置ガイド』を出版してからすでに8年が経過し,多くの読者に恵まれ,数多くの歯科医療従事者に全身管理の重要性を認識していただけたと考えている.その間,AHA(アメリカ心臓協会)の救命処置(BLS,ACLS)のガイドラインも2005年,2010年に2回改訂された.また,新しいモニターやAEDなどの機器が開発,普及したり,ダビガトランのような新薬も臨床応用されている.また,高血圧症,糖尿病,脂質異常症などの診断基準あるいはガイドラインも改訂された.そこで今回は『目で見る最新歯科救急処置ガイド』と『目で見る最新歯科全身管理ガイド』から歯科医院に必要な箇所だけを抜粋し,新たに写真や図版,記述を追加・修正した合本を拵えることになった.
本書の基本方針は,バイタルサインの見方,モニターの使い方,全身管理の方法,さらには歯科救急処置,蘇生法の基本手技の写真をふんだんに使って視覚的に解説するというものである.基礎知識,全身管理・モニターから歯科診療における全身的偶発症に対する処置,救急蘇生法の実際まで,具体的かつ簡潔に示した.構成は,第一線の現場で活躍されている歯科医や臨床研修医だけでなく,歯科衛生士,歯学生にも役立つように工夫した.的確な処置ができるように,モニターの見方,薬剤の具体的な投与方法などできるだけわかりやすく解説した.薬剤は商品名とともに一般名も記載した.また,救急患者を目の前にして,全身的な評価や合併症を考慮に入れたうえで処置,治療をおこなうという,一連の治療の流れを想定して章を立てた.巻末には,最も頻度が高いと思われる偶発症をラミネート板で提示したので,切り取って壁などに貼り,いざというときに活用していただければ幸いである.
本書が歯科医療に従事する多くの方々の参考になれば幸甚である.
著 者
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