書籍紹介
メディアと異界−遠くにあるもの
著:仲田誠(筑波大学大学院人文社会科学研究科教授)

四六判  296ページ
ISBN978-4-901894-63-0
定価1,995円(本体1,900円+税)
現代という「輝かない」時代を変えていく手がかりはなにか。
いま必要なのは、「隠れたもの」「遠いもの」「不在」について考える情報学・メディア論である、と著者は考え本書を著した。

「時間・場所・文化の違いを克服するのが情報通信技術」であり、「近さ」こそが価値をうみだすとする情報社会において、機械によって処理される「事物的な意味の領域」と「もっと別の意味の領域」がこの世に存在する。
「遠さ」と「近さ」の関係性がもたらす感覚、メディアの表現の世界や、日常生活のさまざまな部分に「隠れた他者」として入り込んでいる不可思議な感覚について考えることによって、「たった一つの意味の領域」しか考えない現代の情報社会論の過ちを指摘する。

「複数の領域」を意識が往復運動することこそ、私たちの意識の特徴的な点であること、ガダマー、アレント、小林秀雄、ハルトマン、山崎正和その他、古今の優れた人たちの言葉を手がかりに、「存在の奥行」を取り戻すことがいま必要であることを、本書は語りかけている
 
       
目次

目次

序       遠くにあって見えるもの・近くにあって見えないもの
             私たちが「遠いもの」・「隠れたもの」に憧れる理由
             「隠れたもの」、「遠いもの」、「不在」について考える情報学・メディア論

第一章 現代社会の中の「空白」・非実在的なものの実在性
             現代社会の中の「遠景」と「近景」
             抑制された表現こそ世界の意味を開示する
             現代の詞書・キャッチコピーと「幽路」
             「空白」、「亀裂」がうみだす「二重の意味の世界」

第二章 間接的なものこそリアルである
             自己を知るためには自己は間接的意味の世界におかれなければならない
             フィクションの現実感とは間接表現による「存在の増大」のことである
             真理は隠されている
             主体性・存在の増大の契機は遠さと近さのあいだの往復運動にこそある
             そもそも隠されたものとはなにか
             「亀裂」 、「空白」 、「間接的意味の世界」をめぐる多様な問題

第三章 「見えないもの」をどのように見るか
             情報社会論の問題点は「見えないもの」を「見ようとしない」ことにある
             「想像上の他者」と非間接的なコミュニケーション
             「あいだ」とは想像上の他者のいる場のこと
             想像上の他者があらわれる場・現れとしてのリアリティ
             文脈・共通の意味の世界とはなにか
             人と人はなにによってつながるのか
             「共通感覚」と「共同の意味の世界」

第四章 メディアは存在を増大させるか
             アクチュアルな出来事としてのメディア
             「空白」がアクチュアルになる
             「空白」の場としての広告・聖なる空白か作為的な空白か
             広告における意味やモノの「不在」
             「不在」としての場所
             メディアという特権的な場所
             人間の弱さとメディアの空白

第五章 存在の増大をもたらさない情報社会
             「不在」や「空白」を忘れた情報社会の失敗
             誤解された情報社会
             情報社会は自己予言的社会である
             存在論の視点から世界を」見る
             日本的運命論と「不在」

第六章 日本を豊かにする内と外の視点              視点の切り替えがリアリティと生む
             視線の濃淡が世代で違う
             生活の場全体を「作品」を生む場にする

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